書に倦むや蜩鳴いて飯遅し 子規
先週は僕にしてはあれやこれやと忙しく過ごしており、なかなかブログが更新できませんでした。 日中の厳しい残暑は相変わらずですが、それでも時折吹き渡る涼しい風や夜中の芳しい薫りに秋を感じずにはいられません。来る季節への期待がたかまります。
という訳で、過ぎゆく夏の相棒たちを、すこし紹介したいとおもいます。
夏のあいだ寄り添ってくれた愛すべきものたち…左から、シルク・リネン素材のネイヴィー・ジャケット(誂え)、エメラルドグリーンのコットン・ハンカチーフ(Mungai)、あざやかなマドラス・チェックのコットン・ボウタイ(Fine and Dandy Shop)、スーパーファイン・モンテクリスティのパナマ帽(Lanvin)。
ジャケットは数年着込んで、かなりヨレていい風合いになってきました。ノッチド・ラペルに白蝶貝のふたつ釦、3パッチ・ポケットときわめて普通の仕様です。Mungaiのハンカチーフ、これは二十歳前のころ、うめだ阪急のセレクト・コーナー(カミーユ・フォルネや大峡製鞄も置いてました)で購入したもので、当時はその名前も殆ど知られていなかったおぼえがあります。ずっとしまったままでしたが、飛ぶ鳥(カモメかな、それともイソシギ?)の手刺繍も愛らしく、色合いも爽やかで気に入って、ここ数年愛用しています。マドラスのコットン・ボウタイは多色使いで一見難しそうですが、淡い色出しの鮮やかさが実にニクく、結構なんにでも合います。
さて、このLanvinネームのパナマ帽とはかれこれ七年以上のつきあいになるでしょうか、イタリアにも被っていきましたし、夏の外出には欠かせないものとなっています。とても細かい編みが特徴で、繊細なのかと思いきや(湿気には弱いですが)可塑性・弾性に富んでいて、案外丈夫なのです。
相当酷使しているのでそこかしこに傷はあるものの、日焼けの程度も浅く、一生の相棒となってくれる筈です。
編んでくださった方の銘入りですが、これだけではどなたなのか判別しようがありませんね…
こうやって夏の装いを振り返ってみると、秋冬ものと違って、使い込むにつれてヨレたり疲れが目立つ素材がおおいからか、そこはかとない儚さを感じてしまいます。密に手で織られたツィードは数世代でも(殆どくたびれずに)もつでしょうが、着込んだリネンやコットンはそうはいきません。それでも、愛情を持ってこうしたものたちを用い、身につけることによって、似たような他のどれとも違う、不完全だけれどオリジナルな味わいが醸し出せるのだろうと信じています。
今晩はBarbra Streisandの歌うこの名曲が聴きたくなりました。次回は、来る秋からつきあってゆくことになるものたちを紹介したいと考えています。