2014年3月28日金曜日

ぬののかんばせ 壱 -a face of the textile 1-


Vintage Swiss Silk Scarf made in France (circa.1950)

 もう、春ですね。鶯のさえずりなど耳にすると、これが「春のおと」だなぁとしみじみ聴き入ってしまいます。
 
 さて、所謂ヴィンテージとかアンティークとか云われる骨董小物のなかには、とても質が高いにも関わらず案外悪趣味な柄・配色のものも散見されますが、このスカーフは柔らかい手描きの線と、実に絶妙の色合いで染められた二色(フランスと日本の古色でいえば、Cendre(枯色)とBlue de Côte d'Azur(薄縹)あたりでしょうか)の配し方が、えもいわれぬ優雅さと洗練を醸しています。古くささを感じさせない「時代を超えた時代性」って存在するんですね。
 
 不思議な装飾をもった馬や花の手描きの曲線にせよ、配色にせよ、実際につくられたとおぼしき時代よりももっと昔…ベル・エポック期のかほりさえ漂います。そしてなにより、絹の質が凄い。とても密に織り込まれた繻子(サテン)地ですが、蕩けるような感触と巻いてみたときの豊かな膨らみと張りは、やはり現代では得難い質だとおもいます。軸がぶれていないというか、「質の高いスカーフとはこういうものだ」という誇りが伝わってくるような質なのです。

 それにしてもこのツートンカラー、なんだか江戸時代の日本でも好まれそうな配色だと思われませんか?

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